今回使用した木材は、偶然アトリエにあったものの中から選んだものだ。木目の数を数えれば100年は経過していることがわかる(楽器作りとはなんと贅沢なのだろう)。おそらく檜だが詳細はよくわからない。香りは強くない。父によれば以前町が水害にあった時に水に浸かったということだから、10年以上はアトリエの中に寝かされていたのだろう。
全てを1から設計する訳ではなく、今回は市販のモデルをベースに外筐のみを制作したが、音を出してみてわかるのは、やはりリードが音質の大部分を決定している——つまり、どのような覆いを作るにかかわらず、基本的な音質の傾向は変わらないという事。それから、木材で作れば良い音がするというような単純な話ではないという事。当たり前だがどのような材を使用するかによるし、構造も大きく影響するだろう。わずかコンマ1ミリの違い、具体的には、空気箱のどの部分がどのように外筐に接触するかによって音質——倍音構成は多様に変化する。不必要な倍音をカットするために別素材も組み合わせて構成する必要もあるだろう。このような事は、同族の楽器コンチェルティーナを見れば明らかで、彼らは良い音を手に入れるために様々な工夫を凝らしている。
構造上の問題、材質の問題など研究課題は沢山残るが、音質的には想像するものに一歩近づいたという感じで、黎明作品として概ね満足している。音質に関しては、複数の人がオルガン(所謂、小学校等で昔使用されていた足踏みオルガン)の音になぞらえるのを耳にした。
音質等に関する詳細は後に記事にする。
—Ryusuke Koarashi
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